自律神経の乱れは睡眠の質を下げる!?コレが入眠を妨げるNG行動
眠りたいのに眠れない!そんな悩みを抱えている現代人は、とても多くいます。眠れない原因は人それぞれですが、自律神経と睡眠の仕組みを理解して副交感神経を整える方法を知ることは、“快眠への近道”です。
ここでは、自律神経と睡眠の関係をはじめ、普段の生活のなかで簡単にできる、副交感神経を整えて眠りやすくなる方法と、眠れなくなってしまうNG行動をご紹介します。
自律神経と睡眠の基礎知識
睡眠には、神経の働きが大きく関わっています。まずは、神経の種類やそれぞれの働きについて、分かりやすく解説します。
自律神経とは?
人間の体内にある神経は、「中枢神経(脳脊髄神経系)」と「末梢神経」に大別されます。そして、末梢神経は「自律神経」と、体性神経である「運動神経」「感覚神経」の3つに分かれます。
中枢神経は脳や脊髄にあり、主に自分の意思でコントロールでき、手足を動かしたり痛みを感じたりするときに機能しています。
一方、自律神経は自分の意思とは無関係に体の機能をコントロールする神経で、脳や脊髄にある自律神経の中枢から全身に分布し、末梢神経に情報を伝えています。
私たちが意識をしなくても、血管や内臓が動いていますよね? 無意識でも呼吸をしたり、体温を維持するために汗が出たり、食べたものを消化するために胃腸が動いたりするのは、自律神経が24時間働き続けてくれているからなのです。
自律神経は、相反する働きをする2つの神経に分類できます。1つは脊髄から出て各臓器など全身に情報を伝える「交感神経」で、活動しているときや緊張しているときに心拍数を上げたり、血管を収縮させたりするなどの働きを持っています。
もう1つは中脳、延髄、脊髄から出て体内にのびている「副交感神経」で、寝ているときやリラックスしているときに活発に働いています。活発に働くことを「優位になる」とも言いますが、この2種類の神経は体の状況に応じていずれかが優位になるよう、シーソーのようにバランスを保ちながら機能しているのです。
自律神経は睡眠の質に影響する
寝つきを良くするためには、日中活動しているときに「交感神経」が優位になり、夜間に「副交感神経」が優位になることが理想です。就寝の3時間前から副交感神経の働きを高めるようにすると、入眠しやすいとされています。
しかし、副交感神経は時間をかけてゆるやかに活性化するのに対し、交感神経は急速に活性化するため、就寝前にちょっとしたことでも交感神経が刺激されると体や脳が興奮してしまい寝つけなくなってしまいます。
交感神経が刺激されると、血圧上昇、瞳孔拡大が起こり、脳や体が興奮状態になってしまい、入眠障害だけでなく、熟眠障害、早期覚醒、中途覚醒などの不眠症や寝不足を引き起こすこともあります。
交感神経が刺激される要因は生活習慣のなかに潜んでいることが多く、ちょっとしたストレスでも刺激になり得ます。眠れない悩みを解消するには、睡眠前に交感神経を刺激する行動を慎み、十分に副交感神経を活性化させ、自律神経の乱れを整えることがポイントになります。
自律神経を整えて、睡眠の質を高める方法
では、寝る前に副交感神経を活性化させるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、日常生活のなかで取り組める方法をご紹介します。
就寝1~2時間前に入浴する
体温が高いと入眠しにくくなるという特性があるため、眠るときは体温が低いほうが理想です。体温は上がった分だけ下がろうとする性質があるため、就寝1~2時間前に入浴し、深部体温をいったん上げておくと、深部体温を下げようと手足の先から熱放散され、体温が下がるタイミングで入眠しやすくなります。
また、寝る前の入浴は副交感神経のスイッチを入れ、血流も良くする働きもあります。効果的な入浴法として、40℃のお湯に首まで5分つかり、その後10分の半身浴をします。
お湯の温度が熱すぎると交感神経が刺激されてしまうため、40度ほどの熱すぎない湯船にゆったりとつかり、体の芯を1~2℃温めることがポイントです。しかし、自分が心地よさを感じることが大事なので、自分好みの温度や入浴時間にアレンジして、リラックスできるところを探しましょう。
アロマの香りが好きな方は香りつきのバスソルトを取り入れても良いし、炭酸泉は深部体温を上げる効果があるため、炭酸ガスが出る入浴剤もおすすめです。
冬は、入浴後の体温管理にも注意が必要です。こたつや電気毛布で足を温めていると眠くなりますが、足先が温まり続けると熱放射ができず、深部体温が下がらないため、途中覚醒してしまいます。対策としては、湯たんぽのような温度が下がっていくものや、タイマー機能のある電気毛布を使用して、眠った後は切れるようにすると良いでしょう。
就寝1~2時間前にストレッチを行う
ぐっすり眠るために、首のこりをほぐすことをおすすめします。首筋には、太い血管が通っているので、首筋の血行が良くなれば、自律神経も整ってきます。また、両肩を回したり、首をもみほぐしたりして血管や筋肉に刺激を与えることで、深部体温が上がります。
仕事の疲れやパソコンの見すぎで眼精疲労がある場合は、首や肩のこりをほぐすついでに、こめかみや眉頭の下などにある視神経をほぐすツボを、気持ちがいいと感じるくらいの強さで刺激するとより効果的です。
また、寝ながらできるストレッチもおすすめ。あおむけになり、全身を思いっきり伸ばして脱力するストレッチを5回繰り返し、さらに、あおむけのまま両腕を横に広げ、膝を立てて腰からゆっくり左右に倒すストレッチを左右5回ずつ行うことで、眠りに入りやすくなります。
このようなマッサージやストレッチを習慣化し、脳がストレッチを睡眠準備と捉えるようになってくるとベストです。
ただし、心拍数が上がるような激しい運動やストレッチは交感神経を刺激してしまうので、その点だけ注してください。
就寝前にリラックスする
リラックスしやすいグッズを使って、副交感神経が優位になる状態を作ることも大切です。就寝前に飲むものは、カフェインレスで温かい飲み物を摂りましょう。
白湯でも良いですが、カモミール、ラベンダー、リンデンなど、安眠効果のあるハーブティーを試してみても良いでしょう。寝室にアロマを焚く方は、アロマテラピーで睡眠の定番とされるラベンダーの香りか、オレンジスイートもストレス緩和に良いとされているので、それらがブレンドされているものを試してみてはいかがでしょうか。
寝室をリラックスしやすい環境にしておくことも重要です。特に夏場は、寝室が高温多湿になると寝苦しくなり、入眠の妨げになりやすいです。あらかじめ、快適に眠れる温度や湿度に設定しておきましょう。
また、寝室が明るすぎたり外の音や光が入ると寝つきにくくなるので、常夜灯に切り替えたり、雨戸を閉める、遮光性の高いカーテンにするなどして明るさを調整し、静かな環境を作りましょう。
入眠しやすい、ヒーリングミュージックを聞くのもおすすめです。スマホで「眠れる音楽」と検索すれば、無料で聞ける睡眠用BGMが出てくるので、スマホで曲を流しながら布団に横になってみましょう。このとき、スマホの明かりが気にならないように画面を伏せるか、スマホカバーの蓋を閉めておくといいです。
朝起きたら日光を浴びる
副交感神経を優位にさせる「メラトニン」というホルモンがあります。メラトニンをしっかり分泌させるためには、朝起きたときに雨戸やカーテンを開けて太陽の光を入れ、朝日を浴びることが大切です。曇っていても、窓から自然光が入れば大丈夫です。
日光を浴びると体内時計がリセットされ、交感神経が刺激されることで眠気を抑えやすくなります。メラトニンは朝日を浴びてから約15時間後に分泌が高まり、入眠しやすくなるため、就寝時間にメラトニンをしっかり分泌させるためには、朝しっかり起きることが重要です。
できれば毎日同じ時間に起き、体内時計をしっかり切り替えられるようにし、正しい睡眠リズムに整えていきましょう。
また、「幸せホルモン」と呼ばれる脳内の神経伝達物質の「セロトニン」も、メラトニンの分泌活性化に関わっています。
セロトニンは、一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返すと生成されやすくなる特性があるため、朝の出勤時に歩くという運動習慣があると、日光浴と有酸素運動が同時にできて、セロトニンを生成しやすい体になります。
午前中に分泌されたセロトニンは、午後以降にメラトニンに変化します。セロトニンは体内に貯蔵できないので毎日体の中で作らなければなりません。
メラトニンは食事でも分泌をサポートでき、その材料となるトリプトファンは、肉や魚など動物性たんぱく質に多く含まれており、乳製品や大豆製品からも摂取できます。
メラトニンは加齢とともに分泌量が減りますが、朝起きる時間を一定にし、朝日を浴びたり朝食を取ったりすることで分泌を促すことが可能です。メラトニンのサプリメントは市販されているので、日によって仕事の出勤時間がバラバラなど、どうしても生活リズムが一定しない方や、食事や栄養バランスが乱れがちな方は、サプリメントで補うという方法もあります。
自律神経を乱し、睡眠のリズムを崩すNG行動
交感神経は、ちょっとしたことで刺激されます。ここでは、寝る前に交感神経を活性化させてしまうNG行動をご紹介します。
寝る直前にスマホやPCを使う
寝る直前までスマホを触っている人は要注意です。スマホやPCの画面から出るブルーライトは交感神経を刺激し、睡眠ホルモンのメラトニンを減少させてしまいます。
それだけでなく、メールやSNSのやり取りで気分が乱されて、ストレスを感じ眠りにくくなることがあります。心身をリラックスさせるためにも、スマホやPCは就寝1時間前から使用を避けるようにすると良いでしょう。
休日に寝だめをする
体内時計を整えるためには、毎日同じ時間に起きることが重要です。いつも起きている時間に1時間プラスするだけなら、大きく体内時計が乱れることはないものの、それ以上は体内時計の悪化を招きます。
寝過ぎた場合、目覚めたときに副交感神経が優位な場合があることに加え、平日と休日で睡眠時間帯に大幅なずれが生じると、だるさや眠気を引き起こしやすくなります。休みの日に寝だめをしたとしても、疲れがとれるわけではないのでご注意を。
休日に寝だめをせずに睡眠不足を解消させるためには、寝不足の日に一時的に昼寝でカバーしましょう。昼すぎに午睡をとると休日の体内時計の遅れがなくなり、平日に30分~1時間は早寝できるようになります。そうなると、休日に寝だめをしていた3~4時間分を平日の睡眠時間で補えます。
寝酒を飲む
就寝前の飲酒にも注意が必要です。アルコールの分解には3時間程度かかると言われているので、晩酌や飲み会は、寝る前の3時間前には終えましょう。
アルコールはストレスを和らげ血行を良くするため、一定の入眠効果はあるものの、眠りが浅くなって中途覚醒しやすく、翌朝に眠気やだるさが残る原因にもなります。
寝酒が習慣化してしまうと入眠効果が弱まるため、寝つくために必要なアルコール量がどんどん増えてしまいます。毎日飲む習慣のある人は飲酒頻度を減らし、寝酒がなくても眠れる習慣がつくよう、少しずつ訓練しましょう。
無理に寝ようとする
「眠らなければいけない!」という焦りは、交感神経を刺激してしまいます。どうしても眠れなくなった場合は、一度ベッドを離れて、穏やかに過ごすことも重要です。
眠れないままベッドで横になる状況が続くと、脳がベッドを眠れない場所と捉えてしまいます。
また、計算をしたり英文を読んだりするなど、頭を使うと脳が覚醒して眠くなることもあるため、就寝前はなるべく脳を使わないことが大切です。
自律神経を整える生活習慣を意識し、睡眠の質を高めよう
睡眠に関わる悩みを抱えているあなた。心当たりのある症状や生活習慣はあったでしょうか?
自律神経の乱れは寝つきを悪くし、不眠の悪循環に陥ってしまいます。そのため、自律神経の乱れとなっている原因が自身の生活習慣にないかを考え、改善できそうな点から1つずつ意識して取り組んでみてください。
もし、不眠以外にも頭痛、めまい、食欲低下、腹痛、気力の低下など、心身に不調や支障を感じる自律神経失調症のような自覚症状のある方、または市販の睡眠薬を飲まなければ眠れないという状況にある方は、原因を取り除いたり、適切な治療を受けたりしなければ改善しないため、お早めに睡眠外来のある病院や、心療内科、精神科、神経内科などの受診をおすすめします。
ここで紹介したことが、より良い睡眠に変化するきっかけになれば幸いです。
睡眠脳波測定により、LIMNEのマットレスでは脳が体を回復しようと指示するときに出るとされているδ(デルタ)波が、非常に多く出ていると確認できました。