睡眠時無呼吸症候群は治療で改善できる?発症の仕組みやリスクは?

寝ている間に呼吸が止まってしまう、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」をご存じですか?

無呼吸状態になると血中の酸素が不足し、睡眠中に体が十分に休まらないため、日中の生活に影響が出ることもあります。

長期的には高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性もあるので、あなどれません。

本記事では、そんな厄介なSASの改善方法について解説していきます。病院での治療だけでなく、今すぐ自分でできる対策もあるので、ぜひ実践してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群の改善のために、知っておくべきこと

無呼吸症候群 改善1

まずは、「睡眠時無呼吸症候群」とはどのような状態なのかをご説明します。

そもそも睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が止まった状態を繰り返す病気のことで、英語の「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字を取って「SAS」とも呼ばれます。

呼吸が止まるほか、いびきや夜間の頻尿、起床時の頭痛といった症状も見られ、呼吸が止まることにより睡眠が浅くなるため、日中に眠気を感じやすくなることも。

無呼吸の回数に応じて軽度、中等度、重度の3つに分類されます。

SASかどうかは自宅でできる簡易検査か、医療機関で一泊して行う精密検査で調べることが可能です。

簡易検査では手の指や鼻の下にセンサーをつけて、いびきや呼吸の異常がないか調べます。普段通り仕事や日常生活をしながら、手軽に検査できるのがメリットです。

精密検査では、医療機関にて簡易検査よりも詳しく睡眠と呼吸の質が分かる、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査を行います。これは、機器を装着して5〜10時間睡眠を取り、寝ている間の脳波や眼球運動、心電図などの生体活動を一晩かけて測定する方法です。

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無呼吸が起こる仕組み

無呼吸が起こる仕組みは大きく2つに分類され、SASの多くは、物理的に呼吸しにくくなる「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と言われています。

もう1つは「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」と呼ばれ、こちらはSAS全体の数%ほどしか見られません。

【閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)】
OSAとはさまざまな原因により上気道(空気の通り道)が狭くなり、呼吸が止まる状態を指します。仰向けで寝ているときに舌根や軟口蓋が落ち込む、首やのど周りに脂肪がつく、扁桃が肥大するなどが主な原因で、いびきを伴うという特徴があるものです。

また、口呼吸もSASのリスク因子とされています。鼻呼吸の場合と比べ、口呼吸では上気道が閉塞しやすくなるとされているためです。

【中枢性睡眠時無呼吸(CSA)】
CSAは脳から呼吸の指令を送る呼吸中枢の機能異常により呼吸が止まってしまう状態で、心臓の機能が低下した際に起こりやすいとされています。こちらのタイプでは、いびきは基本的にかきません。

閉塞性睡眠時無呼吸(OSA) 中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
さまざまな原因により上気道(空気の通り道)が狭くなり、呼吸が止まる状態 脳から呼吸の指令を送る呼吸中枢の機能異常により、呼吸が止まってしまう状態

睡眠時無呼吸症候群を改善する方法

無呼吸症候群 改善2

ここでは、睡眠時無呼吸症候群を改善する方法をご紹介します。

治療方法には、症状を緩和させる「対症療法」と根本的に原因を取り除く「根治療法」があり、個々のSASの原因や程度に合わせて選択します。

また、医療機関での治療だけでなく、自分でできる対策もあるので、ぜひ試してみてください。

CPAP(シーパップ)療法

持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure)の頭文字を取って「CPAP(シーパップ)」と呼ばれ、日本で最も普及している療法です。

寝ている間にCPAP装置から空気を送り続けて、気道を拡げることにより呼吸しやすくします。就寝前に患者の身体にエアチューブと鼻マスクを装着し、それらを介して空気が送り込まれます。

マウスピース(スリープスプリント)

睡眠時に歯科装具を着用して、下あごを上あごよりも前方に出た状態で固定します。これにより上気道を広く保つことができるため、無呼吸が防げるのです。

マウスピースは比較的軽度の無呼吸症候群に有効とされます。物理的に気道を拡げる方法のため、閉塞型のSASにのみ有効な治療法です。

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外科的手術

扁桃肥大やアデノイド肥大が原因である場合、肥大箇所を切除して、上気道の閉塞を解消するという方法もあります。上気道確保のため、鼻詰まりを解消する手術や上あご・下あごを広げる手術が必要になることも。

最も一般的な術式であるUPPP(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)では、口蓋垂、口蓋扁桃、軟口蓋の一部を切除し、気道を広げます。

約50%の患者で有効とされていますが、術後の激しいのどの痛みや鼻声、水を飲んだ際に鼻から逆流するといった副作用が起こりうるのがデメリットです。

外科手術は他の療法と異なり、根治療法となります。

また、扁桃やアデノイドに問題がないときも鼻づまりがある場合、CPAPやマウスピースの治療に支障をきたすことがあるため、鼻づまりを手術で改善するケースもあります。

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生活習慣の是正

減量により、のどの周りの脂肪を減らすことで上気道を広く保ちやすくなり、症状が改善されることがあります。肥満の場合、のど周辺の脂肪が原因となっている可能性が高いので、ダイエットをしましょう。

精神安定剤の服用やアルコール摂取も筋肉を緩めるため、気道が塞がりやすくなります。たばこも睡眠時無呼吸症候群のリスク因子とされているため、控えることが大切です。

睡眠時の姿勢を工夫することもポイント。仰向け寝では舌根や軟口蓋が落ち込みやすくなるため、横向き寝のほうが睡眠時無呼吸症候群を発症しにくくなります。上気道を広く保てるよう、高さや形の合う枕を使用することも重要です。

睡眠時無呼吸症候群の改善に関する、よくある疑問

無呼吸症候群 改善3

睡眠時無呼吸症候群を改善するにあたり、みなさんが疑問に思うであろうことをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

どこで検査すれば良い?

睡眠時無呼吸症候群の検査をする場合、睡眠外来のある医療機関を受診することをおすすめします。

外来だけでなく、睡眠専門のクリニックもあります。1つだけでなく、気になる病院をいくつかピックアップして問い合わせたり、問診を受けたりしてみて、自分に合いそうなところにかかるのがおすすめです。

近くに睡眠外来がなければ、内科、呼吸器科、循環器科、耳鼻咽喉科などに相談してみましょう。

治療にはいくらかかる?

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、健康保険が適用されます。CPAP治療の場合は3割負担で、自己負担額は月5000円弱です。

マウスピースや外科手術の場合、健康保険が適用されるかどうかは条件によるので、受診時に相談してみましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群にはどんなリスクがある?

睡眠時無呼吸症候群がある場合、高血圧、不整脈、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を併発しやすいと言われています。

SASが中等度以上の人では高血圧は約2倍、冠動脈疾患は約3倍、脳卒中と糖尿病は約4倍と、生活習慣病の発症率が顕著に上がるというデータも。

心臓発作など、致命的な心血管系のイベント発生数はSAS重度(未治療)のグループでは非常に多く、SASを発症してすぐに指数関数的に上がり続けます。

ただし、CPAPによる治療を受けたグループでは、発生数が軽度〜中等度(未治療)のグループよりも下がり、SASを発症していない健常グループとほぼ変わらなくなります。

つまり、SASがあっても適切な治療を受けることで、生活習慣病のリスクは下げることが可能です。

睡眠時無呼吸症候群の改善のためには、まず生活習慣を整えること

無呼吸症候群 改善4

自覚症状がある方は病院での治療も大切ですが、併せて生活習慣を整えることもやっておきましょう。

減量や寝姿勢を変えるだけで改善するなら医療費もかかりませんし、禁酒・禁煙は健康にもつながります。

どうしても医療の力を借りなければならない場合も、治療効果を高め再発を防ぐためには、生活習慣の見直しは不可欠です。

まずは今の生活習慣でSASの原因となるようなことがないかチェックし、できることから改善していきましょう。

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