ストレッチが快眠に効果的な理由と具体的な方法、実施時のポイント
- 布団に入ってもなかなか寝つけない
- 十分な時間寝ているのに疲れが取れない
- 朝すっきり起きられない
このような睡眠に関する悩みはありませんか?
快眠のためには生活習慣の改善が有効とされていますが、本記事ではその1つとして、寝る前のストレッチについてご紹介します。
血行を良くし、心身をリラックスさせることで睡眠の質がグッと上がるので、快眠できずに悩んでいる人はぜひ一緒にやってみましょう!
ストレッチが快眠に効果的な理由
なぜ、ストレッチをすることが快眠につながるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。
深睡眠を取りやすくなる
入眠後は一気に深い眠りへと入り、その後浅い眠りに移行し、深い眠りと浅い眠りを一晩で4〜5回繰り返します。このなかで最も深い眠りの状態を「深睡眠」と呼び、就寝後4時間以内に深睡眠を2回以上取れていれば快眠状態と言えます。
この深睡眠に効果的なのが、寝る前のストレッチ。人間は深部体温(身体の内部の温度)が低下することで眠気を催し、スムーズに入眠できますが、深部体温は一旦上げることで下がりやすくなります。
ストレッチにより血管が柔らかくなると血流が良くなり、体温が上がるので、ぜひ寝る前に行いましょう。ただし、寝る直前のストレッチは体温が下がりきらず逆に寝つきを悪くするので、就寝の1〜2時間前がおすすめです。シャワーやお風呂であらかじめ身体を温めておくと、筋肉が柔らかくなって楽に行えます。
スムーズな入眠への習慣化を促す
ストレッチは入眠の儀式としても効果的です。寝る前のストレッチが習慣化されると、脳が「これは眠る準備の行為だ」と認識してスムーズに寝つけるようになり、質の良い睡眠につながります。
習慣化には一定期間の継続が必要なので、まずは1〜2週間ほど続けてみましょう。
リラックスしやすい
日中は仕事や家事、育児などにより、筋肉は緊張状態にあります。特に座りっぱなしのデスクワークや、接客などの立ち仕事を長時間している人は要注意。
快眠のためには副交感神経を優位にし、身体をリラックスさせることが不可欠ですが、ストレッチは血流を良くすることで筋肉のコリをほぐす効果があります。1日の疲れを解消し、快眠につなげましょう。
快眠につながりやすい主なストレッチ
快眠のためには、具体的にどのようなストレッチを行えばいいのでしょうか。ここでは寝る前に手軽にできる、おすすめストレッチをご紹介します。
首まわりのストレッチ
まずは、首まわりのストレッチです。現代人はデスクワークやスマホの操作などでうつむきがちなため、首周辺の筋肉に負担がかかっています。このストレッチでは肩を上げたときに肩甲骨も動かせるので、肩こりや背中のハリが気になる人にもおすすめです。
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STEP1:両手を軽く握る
まず両手を軽く握った状態で、腕が斜め下に向くよう左右に45度ほど両腕を開きます。 -
STEP2:腕を斜め下に向けたまま、肩を持ち上げる
腕を斜め下に向けたまま鼻から息を吸いながら肩を持ち上げ、5秒キープします。肩をできる限り耳に近づけるようなイメージで行いましょう。 -
STEP3:肩の力を抜く
口から息を吐きながら両肩を下ろします。 -
STEP4:繰り返す
STEP1~3までの一連の流れを5セット繰り返します。首の付け根をほぐすことを意識しながら行うのがポイントです。
股関節まわりのストレッチ
次に、股関節まわりのストレッチを行います。股関節は日常生活ではなかなか使わず、硬くなりやすいので、意識的に動かすことが大切です。
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STEP1:両足の裏を合わせた状態で座る
まず、両足の裏を合わせた状態で座ります。足首とふくらはぎを床につけて、足を組まずにあぐらをかくような感じです。このとき、両手で足先を包み、鼻で息を吸いながら背筋を伸ばします。頭頂部から糸で吊り上げられているようなイメージで行いましょう。 -
STEP2:背筋を伸ばしたまま上体を前方に倒す
次に、口からゆっくり息を吐きながら上体を前に倒します。背筋を伸ばしたまま倒すのがポイント。頭からではなく、お腹から倒すイメージで行うとうまくできます。 -
STEP3:背筋が丸くならないところで止める
背筋が丸まる直前で倒すのを止め、その姿勢を保ったままゆっくり10回ほど呼吸しましょう。このとき、ひじで太ももの内側を圧迫すると、股関節まわりも同時に伸ばすことができるほか、太ももには血海という冷えのツボがあるので、マッサージ効果による血流促進も期待できます。また、上体はそのままで首だけ前方に曲げるようにすると、首の後ろの筋肉を伸ばすこともできます。
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STEP4:繰り返す
STEP1~3までの一連の流れを1分間かけて行い、これを3セット繰り返します。
全身のストレッチ
最後に全身のストレッチを行い、体全体を緩めてあげましょう。
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STEP1:仰向けになり、両腕でバンザイをした状態にする
まず仰向けに寝て、両腕でバンザイをした状態にします。両腕が耳につくようにしましょう。 -
STEP2:両手両足をゆっくり伸ばす
次に、両手両足をゆっくり伸ばします。手足の指先が上下に引っ張られるようなイメージで背伸びしましょう。このとき、肩やお尻に力が入らないよう気をつけます。 -
STEP3:背伸びした体勢のまま脱力する
背伸びした体勢のまま30秒ほどキープし、力を抜きます。その間、呼吸は止めずにゆっくり行うのがポイントです。 -
STEP4:繰り返す
STEP1~3までの一連の流れを5セット繰り返します。
ストレッチを行う際のポイント
ストレッチはやり方によっては逆効果となることもあるので、ポイントを押さえて、正しく行うことが大切です。
部屋の照明を暗くする
ストレッチを行う際は照明の明るさを調整する、あるいは間接照明にして部屋を薄暗くするのがポイントです。
良質な睡眠のためには副交感神経を優位にし、心身を休ませる必要がありますが、夜も明るい部屋で過ごすと身体が昼夜を区別できなくなり、交感神経が活発になります。すると脳が覚醒し、自律神経のリズムが乱れるため、不眠につながるのです。
また、光の刺激で眠気を促すホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、スムーズな入眠を妨げるというデメリットも。
スマホやパソコンのブルーライトも交感神経を刺激し、メラトニンの分泌を抑制する原因となるので、ストレッチをしながら画面を見ることは避けましょう。
ゆっくり呼吸しながら行う
息を止めると筋肉は緊張状態になるので、ストレッチで筋肉を伸ばす際は、息をゆっくり吐きながら行いましょう。ゆっくりとした呼吸は副交感神経を優位にしてストレスを解消し、心身をリラックスさせる効果もあります。
慣れないうちはストレッチのやり方で頭がいっぱいになって、ついつい呼吸を止めがちですが、最初は意識して呼吸するようにし、徐々に慣れていきましょう。
無理をせず、痛すぎないストレッチを心がける
ストレッチをする際は自分の関節の可動域や筋肉の柔軟性を考慮し、無理のない範囲で行うことが大事です。痛いのに無理して伸ばすと、関節や筋肉の損傷につながる恐れがあります。
体が硬くて既定のポーズができない場合は、自然に伸ばせるところまで伸ばせばOK。痛みを感じる手前で止めましょう。
体に負担をかけない環境で行う
ストレッチをする場所も重要です。床で仰向けになる際は背中を痛めないよう、ヨガマットやバスタオルなどを敷きましょう。座位でのストレッチはお尻の下にクッションを敷いて、高さを出してあげると楽に座れます。
寝る前のストレッチはベッドや布団の上で行うとリラックスしやすく、睡眠への移行がスムーズです。
ストレッチを習慣化して、快眠を手に入れよう
ストレッチが快眠に効果的な理由と、おすすめのやり方を紹介しました。
寝る前のストレッチは血行を良くして体温を上昇させるほか、副交感神経を優位にしてリラックスできるため、スムーズな入眠につながります。
快眠できれば疲れも取れ、翌日の仕事のパフォーマンスも上がり、生活にメリハリが生まれるでしょう。
今回ご紹介したストレッチはどれも寝床で簡単にできるものなので、睡眠の質を上げるためだけでなく、日々の運動不足解消にも役立ちます。
ぜひ、今日から寝る前の簡単習慣で快眠を目指しましょう!
※参照:江崎グリコ株式会社『POWER PRODUCTION MAGAZINE』
ただやわらかいだけじゃない。身体への負担も軽減する、まるでマシュマロの上で眠るようなマットレスです。
【監修者】夏山元伸
1979年東京大学医学部卒業、同附属病院などを経て1990年より関東労災病院勤務。
2001年に同整形外科部長。
2013年から島脳神経外科整形外科医院副院長、整形外科部長、内視鏡・腰痛センター長。
著書『ササッとわかる「腰痛」にならない生活、治す生活』(講談社)など。