睡眠不足で血圧が上がるってホント?高血圧を防ぐためにすべきこと
睡眠不足になると肌荒れや疲労など、美容と健康に悪影響であることはよく知られていますが、高血圧の原因になることはご存じですか?
睡眠と血圧は一見無関係に見えますが、実は密に関係しています。
ここでは睡眠不足による血圧上昇の仕組みと、高血圧を防ぐ生活習慣についてご紹介します。
高血圧の人はさまざまな病気を発症するリスクも高まるため、日頃から血圧が高い、十分な睡眠が取れていない人は、ぜひ対策をしていきましょう。
睡眠不足と血圧の関係
安静状態での血圧が正常値よりも慢性的に高い状態を「高血圧」、低い状態を「低血圧」と言います。
血圧は緊張やストレス、運動や温度変化、睡眠不足などによって絶えず変化しています。
では、睡眠と血圧の関係について詳しく見ていきましょう。
睡眠不足は高血圧の原因の1つ
睡眠不足は美容や健康に悪影響と言われており、例えば、次のようないろいろな弊害を引き起こします。
- インスリンというホルモンの働きを悪くして、糖尿病を招く
- 食欲を増進させるグレリンというホルモンを増やして、肥満を招く
- 脂質異常症など、生活習慣病を招く
高血圧もその1つです。
一般的に起床すると徐々に血圧が上昇し、日中は80~120mmHgほどで落ち着きます。夕方から徐々に下り、睡眠中は下がった状態をキープします。
睡眠には副交感神経の働きを優位にし、心を落ち着かせる働きがあり、それが血圧を正常に保つ役割を果たしているのです。
しかし、夜に眠れないと交感神経が高ぶったままになってしまうため、血圧が下がらず、高血圧の原因になってしまいます。
高血圧の原因は多様で睡眠不足はその1つにすぎず、ほかにも肥満や過労、老化、食生活の乱れなど、さまざまな要因が絡んできます。
高血圧を放置すると、どうなる?
高血圧をそのまま放置することには、大きなリスクがあります。
血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって動脈硬化を起こしたり、大動脈瘤破裂が発生することも。
そのほかにも脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎不全など、重大な病気の発生リスクも高まります。
ある研究結果では夜間、早朝の高血圧は「心筋梗塞」や「脳卒中」のリスクを6倍に上げるという報告も。
血圧が10mmHg高くなると脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなり、心筋梗塞や狭心症の危険度も約15%も増加すると言われています。
低血圧で起きられないのはなぜ?
低血圧で、朝なかなか布団から起き上がれないという人も多いと思いますが、それは血圧が低いと全身に血液が行き渡らず、各器官の働きが悪くなるからです。
その状態で起きようとして急に頭を上げると脳の血流が減り、意識を失うこともあるので、注意が必要です。
低血圧の人はいきなり起き上がらず、寝床の中での軽い運動を行うのが効果的。体を動かすことで徐々に血圧が上がり、体温や血糖値も上がっていきます。
そして、起き上がるときは焦らず、ゆっくり時間をかけてください。
睡眠不足で血圧が高くなりやすい理由
睡眠不足だと血圧が高くなりやすい理由について、ご説明します。
交感神経が優位になるため
睡眠不足が続くと、自律神経のバランスが崩れて交感神経の働きが強くなり、血管が収縮します。
そうすると血圧や心拍数(脈拍)が上昇するので、高血圧になるというわけです。
食塩感受性が高くなるため
高血圧の人が塩分を控えたほうがよいという話は、一般的に知られていることだと思います。
その理由は、塩分(ナトリウム)を過剰摂取すると、血液の浸透圧を一定に保つために血液中の水分量が増し、体内を循環する血液量が増えて高血圧になるからです。
睡眠が不足すると体の中の塩分を排泄する力が抑制される、いわゆる食塩感受性体質になります。
同じ分量の塩分の食事でも、睡眠不足によって塩分を排泄しにくくなるため、高血圧になりやすいのです。
覚醒時は睡眠時より血圧が上がるため
通常、起きている間は交感神経が優位になり、睡眠中は副交感神経が優位になります。
そのため、覚醒時には睡眠時よりも血圧が上がりやすくなり、睡眠中の血圧は覚醒時と比べて約10%も下がると言われています。
また、1日徹夜すると拡張期血圧(最低血圧)は約10mmHg上がるとも言われています。
睡眠不足による高血圧の改善方法
睡眠不足で高血圧になっている場合、どうすればいいのでしょうか。
その改善方法をご紹介いたします。
食事に気を配る
まずは食事です。睡眠不足で食塩感受性体質になり、塩分(ナトリウム)を排出しにくい体質になっているため、塩分の多い食事は避けましょう。
おかずにしょうゆやソースを付けるときは、一度味見をして、味の濃さを確認する習慣をつけるといいですね。
どうしても味が薄いのであれば、直接かけるのではなく、小皿に入れておかずを付けて食べるようにしましょう。
塩分の目安ですが、1日10g未満が理想です(※)。食品で例えると、ラーメンやうどんの汁には5gほども含まれています。
WHOの基準では5g未満、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(20年版)」では、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。厚生労働省の基準とおり、男性7.5g未満、女性6.5g未満が良いと思います。
※参照:無塩ドットコム「1日の塩分摂取量の目安は?【2020年度最新版】」
〈1日あたりの塩分摂取量の目標値(成人)〉
- 【厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(20年版)」】:男性・・・・7.5g未満/女性・・・・6.5g未満
- 【高血圧の方の目安】(※1):6g未満
- 【腎臓病患者の目安】(※2):3~6g未満
- 【人工透析患者の目安】(※3):6g未満
- 【WHO世界保険機関の食事摂取基準】:5g未満
- 高血圧学会の目安
- 慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版
- 慢性透析患者の食事療法基準
就寝前の食事を控え、睡眠の質を高める
食事をするタイミングも重要です。食後は眠くなりがちですが、すぐに寝てしまうと胃や腸が消化で働いているため、睡眠の質が下がりやすくなります。
消化には2時間ほどかかるので、就寝2~3時間前には食事を済ませておくのがいいでしょう。
また、カフェインやアルコールの摂取も控えたほうがいいです。覚醒作用や利尿作用があるため、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりする原因になります。
ストレス解消を心がける
副交感神経を優位にすると、心身ともにリラックスして自律神経が整い、血圧も低下しやすくなります。
そのため、寝る前は好きな音楽を聴く、ヨガや軽いストレッチで呼吸を整える、寝室を暗くしてアロマを焚く、入眠しやすい温度や湿度を保つなど、リラックスできる環境を作るのがおすすめです。
就寝3時間前までに適切な運動を行う
就寝前の軽い運動もおすすめです。ストレッチやウォーキングなど、適度な運動は精神的な緊張を解きほぐす効果があるので、交感神経の活動が抑えられて眠りにつきやすくなります。
体温が一度上がって下がるタイミングで入眠しやすくなるため、できれば就寝3時間前までに運動を行うといいでしょう。
生活習慣を見直して睡眠の質を上げることが、高血圧の予防と改善に役立つ
睡眠不足が高血圧の原因になる理由と、リスクをご紹介しました。
睡眠の質を高めることは高血圧の改善だけでなく、死亡率が低くなることも分かっているし、生活習慣病や睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)の予防にもなるため、ぜひこの機会に見直しましょう。
そのためにはまず、食事や運動など普段の生活習慣を見直し、正しい睡眠のリズムを作ることが大切です。
スマホの普及やライフスタイルの変化で、不規則で不眠になりやすい時代ですが、規則正しい生活を送ることが健康な日々を手に入れるために必要不可欠なので、ぜひ意識していきましょう。
もしそれでも血圧が高い状態が続く場合は、治療が必要なケースもあるで、早めに病院で受診を。
睡眠脳波測定により、脳が体を回復しようと指示するときに出るとされているδ(デルタ)波が、LIMNEのマットレスでは非常に多く出ていると確認できました。