睡眠不足で毎日イライラ……どうやって解消する?

睡眠不足で毎日イライラ……どうやって解消する?

普段は穏やかな性格なのにイライラして家族や子供に当たってしまう、つい運転が乱暴になる、仕事や家事が雑になる……。

このような症状が出ている人は、睡眠不足の影響かもしれません。

厚生労働省の「平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要(※)」によると、本人の成人男性・女性の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も多く、およそ21%が「睡眠で休養が十分に取れていない」と回答。その割合は調査開始以来、年々増加傾向にあります。

※参考:厚生労働省「平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要」P164

育児や残業で忙しい、動画やSNSのやりすぎでつい深夜まで起きているなど、我々の生活習慣の変化が睡眠不足にも影響しているのでしょう。

その睡眠不足によってさまざまな悪影響が出ますが、身近な変化として起こるのが、気が短くなる、イライラするといった症状です。

ここでは睡眠不足でイライラする理由と、解消法についてご紹介します。

睡眠不足になるとイライラする理由

睡眠不足 イライラ1

人はなぜ睡眠不足になるとキレやすく、イライラするのでしょうか。

それは、以下の3つの原因が関係しています。

怒りの感情が増幅されやすくなるため

人間の脳には扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる、怒りや恐怖などネガティブな感情を司る部位があります。

この扁桃体はしっかりと睡眠を取っていれば正常に感情をコントロールしますが、睡眠不足で自律神経のバランスが乱れると、扁桃体が刺激を受けやすくなり、怒りの感情を大きくするアドレナリンが分泌され、コントロールが効かなくなります。

具体的には、「扁桃体 → 視床下部 → 副腎皮質からのアドレナリン」という流れとなり、副腎皮質で作られたアドレナリンが交感神経を活発化し、脳内にも行き渡ります。

このように、負の連鎖を生むわけです。

ストレスを感じやすくなるため

イライラしてムカついていた感情も、翌朝目が覚めたらすっきりしたという経験はないですか?

実は、睡眠には日中に感じたストレスをなくす効果があります。

……ということは当然、睡眠時間が短いとストレスが解消されずに溜まっていくため、イライラしてしまうのです。

また、心だけでなく身体にも負担がかかるので、疲労から神経過敏になって機嫌が悪くなる傾向があります。

集中力が低下するため

寝不足で仕事中に眠気を催した、効率が悪くなった経験が誰しもあるはず。

睡眠は脳をリフレッシュさせる機能があり、睡眠時間が短かったり、質が低かったりすると十分に脳が回復せず、集中力が低下するのです。

そうすると認知機能が鈍り、ミスを起こしやすくなります。物事が思いどおりにいかないと人はイライラしてしまい、機嫌が悪くなるのです。

睡眠不足によるイライラが引き起こすリスク

睡眠不足 イライラ2

イライラ状態が続くことに、メリットはありません。

ここでは、睡眠不足によるイライラが引き起こすリスクについてご紹介します。

ホルモンバランスが崩れて、心身に不調をきたしやすくなる

睡眠中はさまざまなホルモンが働いており、ダメージを受けた身体や脳の働きを正常に保ってくれています。

そのため、十分な睡眠がとれないと、心身のバランスを整えることができずに不調をきたします。

睡眠中に分泌されるホルモンの1つに「コルチゾール」があります。

コルチゾールはストレスに対抗するために副腎皮質から分泌されるホルモン(ストレスを測定する指標ともされている)で、睡眠不足でストレスが溜まると過剰分泌を引き起こします。

そうすると、副腎皮質が疲労して機能が低下するため、炎症反応やアレルギー反応を生じやすくなるのです。

事故を起こす危険性が高まる

睡眠不足になると集中力が低下します。そうすると判断力や認知機能が低下し、合理的な判断ができなくなってしまいます。

例えば、「仕事でうっかりミスを犯す」「通常1時間で終わる作業に2時間もかかってしまう」「頭がボーッとして信号を見落とす」など。

きちんと睡眠を取っていればあり得ないようなことも、やってしまう可能性が高まります。

仕事でミスや失敗をして損失を出すことも怖いのですが、それ以上に怖いのが事故です。車の運転などは命にかかわることなので、注意が必要です。

さらなる睡眠不足に陥る

ムカムカする相手の顔が浮かんで、寝付けないという経験はないですか?

それには理由があって、人はイライラすると交感神経が優位に働いて興奮状態になり、ゆっくり休むことができなくなるのです。

怒りの感情は睡眠の妨げになりやすいため、睡眠の質が下がってしまいます。

つまり、イライラして睡眠不足になる、睡眠不足がさらにイライラの原因となる“負のスパイラル”にはまってしまうのです。

また、睡眠は体や脳の機能を回復する重要な役割を担っているため、睡眠不足が続くと高血圧になりやすく、心臓病や腎臓病、2型糖尿病などの慢性疾患のリスクが増加するため、注意が必要です。

睡眠不足で生じるイライラを解消する方法

では、睡眠不足でイライラする感情をどうすれば解消できるのでしょうか。

普段の生活ですぐに実践できることを、いくつかご紹介します。

深呼吸を繰り返す

イライラした状態は交感神経が優位になっています。逆に副交感神経の働きを良くすることで、イライラした気持ちが静まりやすくなります。

そこでおすすめなのが、深呼吸です。

イライラした緊張状態では、呼吸が浅くなりがち。深くゆっくりと呼吸をすると副交感神経の働きが高まり、自律神経のバランスを取ることができます。

よくスポーツ選手が試合前にゆっくり深呼吸をしますが、気持ちを落ち着かせてリラックスするために行っているのです。

深呼吸は仕事や移動の合間にできるので、ぜひ実践してみましょう。睡眠不足の改善につながります。

お菓子を食べる

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睡眠不足のとき、無性にご飯やお菓子を食べたくなった経験はありませんか?

睡眠不足になると食欲を調節するホルモンが変化するため、糖分、ナトリウム、脂肪などを欲するようになるのです。

それらを摂取することで血糖値が上がり、一時的に疲労やイライラが回復するものの、糖分などの摂り過ぎは依存性があるため、過剰摂取は控えたほうがいいでしょう。

食べるなら、お菓子の代わりに果物、野菜、無塩ローストナッツ、スムージーなどがおすすめです。

日中に15~20分ほど仮眠する

睡眠不足でイライラした場合は、仮眠がおすすめです。

仮眠は頭がすっきりして集中力や注意力を向上させるたけでなく、副交感神経の働きを良くするため、リラックスでき、イライラを抑えやすくなります。

ただし、仮眠する時間には注意が必要です。寝すぎると睡眠のリズムが乱れてしまい、逆効果になるので、15~20分間程度の短い時間にしましょう。

仮眠はイライラ解消だけでなく、仕事のパフォーマンス向上にも非常に効果的なので、ぜひ実践してみてください。

ストレッチを行う

ヨガやストレッチなど、軽い運動には心身に心地良い刺激を与え、自律神経の乱れを改善する働きがあります。

自律神経のバランスが良くなることで副交感神経の働きも良くなり、リラックス効果が得られやすいのです。

仕事の休憩時間や寝る前など、隙間時間に軽い運動を心がけましょう。

朝に散歩を行う

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朝に散歩を行うのも、イライラ解消に効果的です。

朝というのがポイントで、人間の身体は朝に日光を浴びると、ストレスに対して効能のある脳内物質の「セロトニン」が分泌されるからです。

睡眠不足で減少したセロトニンを、朝日を浴びることで増やしてあげる。そうすることでイライラ解消につながります。

また、日光を浴びると体内時計がリセットされる点も、朝の散歩をおすすめする理由の1つです。

朝日を浴びると、夕方暗くなるごろから眠気を促すホルモンの「メラトニン」が分泌され、16時間後には分泌量がピークに達します。

例えば朝7時に起きて朝日を浴びると、その16時間後である夜11時頃に眠気がくるというわけです。

このサイクルを毎日繰り返すことで体内時計がリセットされ、睡眠不足解消に役立ちます。

睡眠負債を解消する

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睡眠不足が積み重なった状態を、借金にたとえて「睡眠負債」と呼びます。

睡眠負債自体は病気ではないものの、慢性化すると免疫力が低下して風邪を引きやすくなる、うつ病を発症しやすくなるなど、心身に悪影響を起こす恐れがあります。

また、米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験では、脳の働きが急激に衰えるという結果も出ています。

この睡眠負債を解消するためには、睡眠の質を改善する必要があります。

ここでは、改善する方法をいくつかご紹介しましょう。

まず、朝に日光を浴びて体内時計をリセットすること。前述のように、朝日を浴びて体内時計をリセットすることで、入眠のサイクルを整えられます。

次に入浴です。38~40度のぬるめのお湯に20分程度浸かるのがおすすめ。1日の疲れを取り、リラックスして心を落ち着けるだけでなく、入眠をスムーズにする効果もあるためです。

就寝前に体温をいったん上げた後に下げると、下がったタイミングで眠くなるので、入浴で体温を上げておくのです。

寝室の環境も大切。眠気を促すホルモンのメラトニンは光の刺激で分泌が抑制されるので、寝る前のスマホ操作や寝室の照明が明るいのはNG。睡眠時はスマホの画面を見ず、部屋の照明を暗くしましょう。

また、自分に合った寝具を使うことも快眠にとって重要です。

まず、枕が硬すぎる(柔らかすぎる)、高すぎる(低すぎる)と首に負担がかかって熟睡できないので、自分の首回りにフィットするものを選びましょう。高さが合わない場合は、クッション材を足せるタイプなら足し、足せないものはタオルを重ねるなどの工夫で調節すればOK。

掛け布団は重すぎると身体が押さえ付けられて寝返りが打ちづらく、中途覚醒や朝起きたときの身体の痛みにつながります。また、通気性が悪いものだと夜中に汗をかいて目が覚めてしまうこともあるので、軽くて通気性の良いものを選びましょう。

敷き布団やベッドのマットレスは、硬すぎると身体の曲線にフィットせず、快適に眠れません。逆に柔らかすぎると身体が沈み込んで寝返りが打ちにくく、負担がかかります。適切な硬さのものを選びましょう。

日々の生活習慣を見直し、睡眠の質を高めてイライラを解消しよう

睡眠不足でイライラする原因と、その対処法を紹介しました。

イライラには人に当たって人間関係を悪くする、事故の発生リスクを高めるなど、デメリットしかありません。

また、イライラの根本的な原因である睡眠不足が続くと、病気発症のリスクも高まります。

ぜひ睡眠を改善させて、イライラした毎日から解放されましょう。


星子尚美先生

【監修者】星子尚美
東京女子医科大学医学部、熊本大学医学部大学院卒業。星子クリニック院長。
全人的医療を目指した自由診療のみのクリニックを開業。がん、生活習慣病などの難病に苦しむ患者の治療と予防医学を行っている。
放射線科専門医、日本臨床抗老化医学会認定医、高濃度ビタミン点滴およびキレーション療法専門医、メディカルアロマ専門医などの幅広い資格を取得。
東久邇宮国際文化褒賞授与(予防医学に貢献したなど)。
著書に『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』『腸のことだけ考える』など。



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