睡眠不足で肥満に!?ぐっすり眠って健康面のリスクを防ぐには?

睡眠不足で肥満に!?ぐっすり眠って健康面のリスクを防ぐには?

先進諸国の平均睡眠時間が8時間を超えているのに対し、日本人は7時間半ほどと国全体として睡眠不足の傾向にあります。

睡眠不足が身体に良くないことはよく知られていますが、肥満の原因にもなりうるということはご存じでしょうか?

実は、睡眠不足と肥満の関係は研究でも指摘されています。肥満はあらゆる生活習慣病の引き金となるため、睡眠不足を解消することは病気予防には不可欠なのです。

ここでは、睡眠と肥満の関係について詳しくご紹介します。睡眠時間が少ない、体重や健康が気になるという方は、ぜひ参考にしてください。

睡眠不足と肥満の関係

睡眠不足 肥満1

睡眠が不足すると心身に影響を及ぼすことは知られていますが、肥満とは一見すると関係なさそうに思えます。

そこで、まずはなぜ睡眠不足が肥満を引き起こすのか、解説していきましょう。

睡眠不足になると肥満しやすい?

睡眠不足が積み重なると肥満になりやすいと考えられていますが、これはホルモンバランスや自律神経が乱れること、運動不足になりがちなことが主な原因とされています。

2005年に米コロンビア大学が実施した研究では、32~59歳の男女8,000人を対象に、睡眠時間と肥満の関係についての調査が行われました。結果、睡眠時間が平均7~9時間のグループと比較し、5時間のグループでは50%、4時間以下のグループではなんと73%も肥満率が高いことがわかっています。

それでは、睡眠不足がなぜ肥満につながるのか、詳しい理由を見ていきましょう。

睡眠不足が肥満を招きやすい理由

【ホルモン分泌の乱れ】
睡眠不足の状態では、食欲を抑えるレプチンというホルモンの分泌量が低下するのに加え、食欲を亢進させるグレリンの分泌が増えるため、食事量が増えがちです。

実際にある研究(※参考)でも、被験者に4時間睡眠と10時間睡眠でそれぞれ2日間過ごしてもらい、食欲に関する調査を行っていますが、4時間睡眠の後では、空腹感や食欲が増したばかりかスイーツや炭水化物を食べたくなるという結果が報告されています。

(※参考)Spiegel K, et al.: Ann Intern Med, 141(11):846-850, 2004

4時間睡眠が2日続いただけでもホルモン分泌が乱れ、食欲に影響を及ぼすため、短期間の寝不足でも肥満につながる可能性があるのです。

【自律神経機能の乱れ】
睡眠時間が短いとその分、起きて活動している時間が長いので、エネルギー消費量が増えて痩せそうな気がしますが、実はこれは間違い。睡眠不足になると代謝が悪くなるため、エネルギー消費量が減少しやすくなります。

自律神経が整っていると日中は交感神経が優位になり、活動的な状態になりますが、睡眠不足の状態では起きているときに交感神経がうまく機能しなくなるため、代謝が落ちるのです。

【睡眠不足による運動不足】
睡眠時間が短いと疲れが取れず、活力がなくなり、運動不足になりがちです。活動量が少なくなると消費エネルギーが減るため、体重増加につながりやすくなります。

睡眠不足による肥満で生じやすい健康面のリスク

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睡眠不足により肥満になった場合、以下のような健康面への影響が懸念されます。

睡眠時無呼吸症候群

肥満により、のどの周りの脂肪が増えると気道が塞がりやすくなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあります。

寝ている間に呼吸が止まると夜中に中途覚醒し、睡眠の質が下がるほか、高血圧や心不全、脳血管障害などにつながるリスクもあります。

中途覚醒によって睡眠不足となり、それが肥満を助長し・・・という悪循環に陥ってしまう可能性もあるので、注意が必要です。

糖尿病

肥満は糖尿病の原因にもなり得ます。睡眠不足の人は血糖値を下げるインスリンの分泌機能が弱くなり、特に、空腹時の血糖値が上昇しやすくなることが理由です。

睡眠不足が肥満を引き起こし、肥満が糖尿病につながるというだけでなく、睡眠不足そのものも糖尿病リスクを高めるので、予防のためにはまず睡眠の改善が不可欠と言えます。

韓国のソウル大学医学部で13万人を対象に実施した調査によると、睡眠時間が長すぎる、あるいは短すぎる人では、メタボリックシンドロームや2型糖尿病のリスクが高まるという結果が出ています。

これらのリスクが最も低いのは睡眠時間が7〜8時間の人で、6時間未満の人と10時間を超える人では、リスクが増大することが明らかになりました。

高血圧

睡眠不足により覚醒状態が続くと、交感神経が優位な状態が長くなり、血圧が上がりやすくなります。

もともと高血圧の人が睡眠不足になると血圧が下がりにくくなるので、特に注意が必要です。

脂質異常症

脂質代謝に異常が起き、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールが多くなりすぎる、脂質異常症のリスクもあります。

これはいずれ動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを招くこともあるので、あなどれません。

睡眠不足による肥満を予防する、主な方法

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睡眠不足による肥満を予防するためには、日ごろの睡眠の質を上げる必要があります。ここでは、その具体的な対処方法をご紹介します。

体内時計を整える

人間の体内時計はぴったり24時間ではなく、25時間くらいと言われており、毎朝リセットしてあげないと少しずつ後ろにズレ込んで、夜型へと移行してしまいます。

そのため、朝起きたらすぐに朝日を浴びましょう。日光には体内時計をリセットし、新しく24時間の周期を始める働きがあります。

また、太陽光を浴びた14〜16時間後に睡眠を促すメラトニンというホルモンが分泌されるため、夜寝る時間から逆算して日光浴をすることで、その日の夜の寝つきが良くなるのです。

逆に、夜に強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制され、眠気を感じにくくなったり、深い眠りを妨げたりしてしまいます。テレビやスマホ、PCのブルーライトは体内時計を乱し、さらなる不眠を招くので、夜間は早めにOFFにしましょう。

それと、就寝時間が近付いたら、部屋の電気も暗めにするとより効果的です。カーテンを閉め、ろうそくや間接照明を活用して薄暗くしましょう。そうすると、光で交感神経を刺激することを防げるほか、ゆったりした雰囲気でリラックス効果もあり、寝支度には最適です。

最適な睡眠時間を見極める

睡眠時間は、ただ長ければいいというものではありません。一般的には7〜8時間が理想とされますが、個人個人で異なるため、自分に合った睡眠リズムをつかむことが大切です。

また、同じ人であっても季節や年齢によって適切な睡眠時間は変わってきます。一般的に夏よりも冬の方が、睡眠時間が長く、若いときよりも高齢になるほど、短くなっていくことが多いです。

目覚めが良いかどうか、日中に眠くならないかといったことを目安に、自分にとって最適な睡眠時間を見極めていきましょう。

適度な運動を取り入れる

体を動かすことで適度に疲れるため、寝つきが良くなり、快眠しやすくなります。無理なく続けやすいウォーキングやジョギング、ヨガなどの運動がおすすめです。

ただし、寝る前に激しい運動をすると交感神経が刺激され、かえって目が覚めてしまうので、夜間に行うならストレッチなど、息が上がらない程度の軽めの運動が適しています。気持ち良いと思える程度に筋肉をほぐし、体をリラックスさせてあげましょう。

睡眠不足を解消し、肥満やその先にある生活習慣病を予防しよう

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睡眠不足が肥満の原因となり、健康に影響を及ぼすことは理解していただけたでしょうか。

何をやっても痩せない、食欲が落ちなくて困るという人は、ダイエットの前に睡眠を見直しましょう。太りやすい体質なのではなく、単に十分な睡眠が取れていないだけかもしれません。

睡眠不足は百害あって一利なし。睡眠の質と量の改善は肥満、ひいてはその裏に潜むさまざまな生活習慣病の予防につながります。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ取り組んでみてください。


星子尚美先生

【監修者】星子尚美
東京女子医科大学医学部、熊本大学医学部大学院卒業。星子クリニック院長。
全人的医療を目指した自由診療のみのクリニックを開業。がん、生活習慣病などの難病に苦しむ患者の治療と予防医学を行っている。
放射線科専門医、日本臨床抗老化医学会認定医、高濃度ビタミン点滴およびキレーション療法専門医、メディカルアロマ専門医などの幅広い資格を取得。
東久邇宮国際文化褒賞授与(予防医学に貢献したなど)。
著書に『「平熱37℃」で病気知らずの体をつくる』『腸のことだけ考える』など。



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