枕の寿命はどれくらい?素材別の目安と長持ちさせるメンテナンス
枕は素材によって寿命が違ってきます。自分の頭に合わない素材や劣化した枕を使い続けることは、眠りを浅くし、睡眠の質を低下させてしまいます。
そのため、自分に合った枕選びと快適な状態を保つことは「快眠への第一歩」です。
ここでは、枕によく使われる7つの素材の特徴や耐用年数をまとめました。また、寿命を過ぎた枕を使い続けるデメリット、そして長持ちさせるメンテナンス方法についても詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
【素材別】枕の寿命の目安
枕によく使われる7種類の素材について、特徴を解説します。素材によってフィット感やお手入れ方法が異なり、寿命も違ってきますので、それぞれの特徴を理解し、ぜひ買い替えのタイミング判断や、枕選びをする際のチェックポイントにして下さい。
ウレタンフォーム
ウレタンフォームは低反発枕や高反発枕に使われ、フィット感抜群の人気素材です。
スポンジ状で小さな気泡が連続している特殊な構造をしており、空気の出し入れが多いため、清潔に保つことができます。
ゆっくり沈んでゆっくり戻るという特性があるため、自分の頭の形に合わせて形状が変わり、体圧を分散させてくれます。
注意が必要なのは、水に濡れると耐久性が劣ってしまう点です。水が潤滑油の働きをするため、ウレタンフォームの戻りが速くなります。また、湿った状態になると強度が低下して、素材が破れやすくなります。
それと、温度によって高さが変化する場合もあります。そのため水洗いがNGで、お手入れは枕カバーを外して、直射日光の当たらない風通しのよいところで陰干ししなければなりません。
使用するにつれモチモチ感がなくなり、反発性・柔軟性も徐々に失われ、へたった箇所の復元力が弱くなって形が崩れます。そのようなボリューム感がなくなったと感じたころが買い替え時で、寿命の目安は一般的に2~3年です。
ポリエチレンパイプ
ポリエチレンパイプはストローを細かく切ったような形状の素材で、空洞の体積が大きいため、通気性が非常に優れています。
硬めの素材なのでパイプが潰れにくく、水洗いも日干しもOKで頻繁に洗っても大丈夫です。水がたまることもないので、汗をかく量が増える夏場でも快適な睡眠が得られます。また、ホコリがたまりにくい、ダニやカビが発生しにくくアレルギー源にならないというメリットもあります。
そのため、清潔さを重視する方におすすめの素材です。
寝返りをうつときにパイプのこすれる音が気になりそうな方は、パイプがいくつかのポケットに分かれて入っているタイプの枕にすると、音の発生を最低限に抑えることができます。
柔らかめの枕が好きな方やフィット感を重要視する方には向かないかもしれませんが、素材の量を調整することで、ある程度自分に合った高さにできます。硬めの素材なので比較的寿命が長く、寿命の目安が3~5年とコスパも良いです。パイプが潰れて、寝心地が悪くなり始めたころが買い替え時です。
ポリエステル綿
ポリエステル綿は綿状の人工繊維で、やわらかくて弾力性に優れている枕の定番素材です。ウレタン素材のように、温度によって高さが変化することもありません。
クッション性があり、ふんわりとした感覚で寝心地が良く、柔らかめの枕が好みの方におすすめです。
しかし、ホコリの出やすい粒綿は、気管支が弱い方、ぜんそくを持っている方には不向きです。ポロエステル綿は水洗いできるものとできないものがありますが、天日干しは大丈夫です。干す際に軽く枕を叩いてホコリを落とすか、掃除機でホコリやダニの死骸を吸い取るようにしましょう。
枕の寿命の目安は1~3年で、使っているうちに素材同士が絡み合ってダマになり、ボコボコし始めます。枕のボリュームや弾力性の低下が早い時点で発生することがあり、知らず知らずのうちに低い枕になり、深い睡眠の妨げになってしまいます。ポリエステル綿の枕は安価なので、へたって押しても元の形に戻らなくなったり、枕が低くなったりしたと感じたら、なるべく早く買い替えましょう。
フェザー(羽根)
フェザー(羽根)は水鳥の羽を使用した高級素材で、通気性がよく柔らかいのが特徴です。
アヒル(ダック)よりガチョウ(グース)のほうが、弾力性と保温性が高くなっています。羽毛(ダウン)と羽根(フェザー)の配合比は、ダウン8割、フェザー2割になっていると、寝心地がいいと感じる方が多いと言われています。
冬は温かく、夏は涼しいという天然素材ならではの利点がありますが、水洗いができません。風通しの良いところで陰干しし、軽く枕を叩いてホコリを落とすか、掃除機でホコリを吸い取りましょう。
寿命の目安は2~3年で、使用するにつれ弾力性やボリューム感がなくなってしまいます。また、羽根が枕の生地を突き破って出てくる場合もあるので、弾力が戻らない場合や破れたときは買い替えましょう。
なお、鳥と接することでアレルギー反応が起きる方は使用を控える必要があります。羽毛枕や羽毛布団で、鳥関連過敏性肺炎を引き起こす恐れがあるためです。
そば殻
そば殻は、そばの実の殻を乾燥させた素材で、古くから枕に使われている硬めの素材です。
通気性や吸湿性に優れており、寝ている間の余分な熱を外に逃がし、汗などの水分を吸収してくれます。水洗いはNGですが、天日干しをすることで虫がつきにくくなります。特に梅雨の時期や冬は、こまめなに天日干しをするのがおすすめです。
干す際に枕をと叩くと、そば殻が割れて粉が出てきてしまうため、注意しましょう。しかし、どうしても枕を使い続けるとそば殻が割れて、そば粉が出始めます。そば粉が出ると、虫がつきやすくなるだけでなく、鼻炎やぜんそくの原因になることがあります。
寿命の目安は1~3年で、そば粉が出て枕が低くなり、寝心地が悪くなったら替え時です。
発泡ビーズ
発泡ビーズはマイクロビーズと呼ばれる超極小の発泡ビーズ素材で、クッションにもよく使われ、気持ち良い触り心地や流動性が特徴です。
頭の形に合わせてフィットするため、頭を乗せてしばらくの間は心地よさを感じることが多いですが、寝返りをうつたびにビーズが移動して、枕の高さが変わりやすいのがネックです。
通気性が良く、汗をかいてもすぐに空気中に放湿できる反面、熱がこもりやすいので、暑い夏の夜は寝苦しくなり、目が覚める回数が増えることも……。
なかには水洗いもできない商品があるので、その場合は天日干しになります。ただし天日干しすると変質してしまうため、陰干しで汗などの湿気を飛ばす程度のお手入れにしましょう。
寿命の目安は1~3年。ビーズそのものよりも枕の生地に負担がかかって破れやすいので、ビーズが出始めたら買い替え時です。
コルマビーズ
コルマビーズはプラスチックでできた球体型のビーズ素材で、ミニボールに穴を開けたような中に空洞がある形状をしています。
通気性が良く、流動性やクッション性もあるため、通気性と安定性のバランスが良い点が特徴です。プラスチック製の素材のため、水洗いも天日干しもOKでお手入れがしやすいメリットもあります。
発砲ビーズより使い心地がよく、放熱・放湿性もこちらのほうが高いのですが、寝返りをうつと高さが変わる点は同じなので、寝苦しさを感じると目が覚める回数が増えることもあります。
また、ビーズの擦れる音が気になると、熟睡の妨げになる可能性があります。寿命の目安は3~5年で、素材の丸い形がつぶれてボリューム感がなくなってきたら買い換え時です。コルマビーズが別売りになっている、中身だけ交換するタイプもあります。
寿命の過ぎた枕を使い続けるデメリット
自分の体に合っていない寝具を毎日使い続けると、不眠だけでなく、体に様々な不調をきたすことがあります。
ここでは、使用年数が過ぎた枕や不衛生な枕を使うことで引き起こされるトラブルについて解説します。
首や肩周辺に負担がかかる
どんな素材の枕を使用しても、寿命が過ぎるとへたり始め、適切な高さではなくなります。枕が低すぎると頭に血が上り、寝つきが悪くなったり、熟睡の妨げになったりすることがあります。
仮に枕を購入するときにちょうど良い高さに調節しても、お店と家ではマットレスの硬さが違い、家では高すぎると感じてしまうことも珍しくありません。高すぎる枕を使っていると、後頭部で支えることになるため、頸椎が一晩を通して不自然な形状に曲がってしまい、肩こりや首筋の痛み、寝起きの頭痛、さらにストレートネックの原因にもなってしまいます。
いずれにせよ、枕の高さが合わないと首や肩周辺の筋肉が緊張状態になりやすく、肩こりや頭痛、眼精疲労、めまい、吐き気など多様な不調を引き起こしやすくなるのです。
枕を調整する際は、仰向けの寝姿で首筋(頸椎部分)を埋めてくれる形の枕が理想です。横向き姿勢でも高さが合っているか、後頭部の収まりの良さも確認しましょう。
頭皮トラブルやアレルギー、体臭の原因になる
枕は睡眠中ずっと頭をあてていることで、汗や皮脂を吸収します。暗く閉めきった寝室に放置すると、人の汗や皮脂を餌にするチリダニの温床になったり、雑菌やカビが増殖したりするなど、簡単に汚れが蓄積します。
ダニやカビの繁殖はアレルギーの原因にもなるので、清潔に保つために定期的に洗ったり、干したりすることが重要です。
また、汚れた枕を長期間使い続けると、頭皮のニキビや湿疹、抜け毛などのトラブルが起きやすくなるだけでなく、枕に染みついた匂いが頭皮に移り、体臭がきつくなるおそれもあります。
もしも長年洗っていない枕で、匂いや汚れが深く染みついている、かゆみやアレルギーなどの悩みを抱えている状態であれば、思い切って買い替えましょう。
枕の寿命を延ばすメンテナンス方法
枕を清潔に使いたくても、毎日洗濯したり干したりするのは大変です。
ここでは普段のちょっとした心掛けで枕を清潔に保ち、寿命を延ばすことができるメンテナンス方法をご紹介します。
枕カバーや枕プロテクターを使用する
枕についた汗や皮脂汚れは、乾燥させるだけでは取れずに蓄積していきます。さらに、汗や皮脂が枕の中の羽毛や繊維に付着すると、羽毛がへたったり、繊維が傷んだりしてしまい、寿命が短くなります。
そこでおすすめなのが、「枕カバー」や「枕プロテクター」です。枕プロテクターは防水生地になっているため、汚れを通しにくく、洗うことができないウレタンまくらなどに最適です。
湿気を溜めない
洗える枕も洗えない枕も、起きたら底面に風が通るように立てかけて換気をし、湿気が溜まるのを防ぎましょう。
また、毎日でなくても、日干しがOKの枕本体は定期的に洗濯して干すようにし、日干しがNGの枕本体は、風通しの良い場所で陰干しすることも大切です。
汚れはその都度落とす
万が一枕を汚してしまった場合、洗える素材であれば、商品タグの表記に従ってすぐに洗濯しましょう。
洗えない素材の枕は、固く絞った濡れタオルで汚れをたたいて取り、汚れが取れたら濡れた箇所はドライヤーなどを使い、しっかり乾燥させるようにします。汚れたときには、その都度落とすことが長持ちさせる秘訣です。
自分に合った枕の素材選びやメンテナンスで、睡眠の質を高めよう
枕の素材の種類や寿命、劣化によるデメリットを紹介しました。
枕は、睡眠の質を左右する大切なものです。寿命が過ぎている、寝にくいなどと感じている場合は、様々な素材を試せるお店で実際に寝てみて、快適さや使用感を比較してみるのも良いでしょう。
オーダーメイドの枕には、ポケットが複数に分かれていて、それぞれに違う素材を入れて硬さや高さを調整できるものもあります。
枕は消耗品なので、長年使い続けていると、劣化や汚れで体に悪影響を及ぼします。
しかし、しっかりとお手入れやメンテナンスすれば、耐久性を伸ばすことができます。
ここで紹介したことを参考に、自分に合った枕を選び、それが長持ちするようにメンテナンスも行っていきましょう。
ただやわらかいだけじゃない。身体への負担も軽減する、まるでマシュマロの上で眠るようなマットレスです。