シエスタって何?正しく昼寝して頭スッキリ、午後の生産性もアップ!
昼食を食べると眠くなるので、午後の仕事ってなかなか捗りませんよね。在宅ワーカーや車で外回りをしている人は昼寝ができますが、オフィスでは周りの目が気になってできない人がほとんどでしょう。
しかし、最近では「シエスタ」という短時間の昼寝が午後の生産性向上に有効とされ、Googleなどの有名企業を中心に制度として取り入れている企業も増えています。
この記事ではシエスタの発祥や具体的な効果、シエスタを取る際のポイントなどのお役立ち情報をお届けしていきます。
シエスタの基礎知識
シエスタという言葉は日本ではまだまだ聞きなれないので、「何語?どういう意味?」と疑問に思う人も多いでしょう。
ここでは、シエスタの基礎知識についてご紹介します。
そもそもシエスタとは?
シエスタとはスペインの伝統的な長い昼休憩のことで、それが転じて、「昼休憩中に取る昼寝」のことを指します。
主に、午後1〜4時の間で2時間ほど取るのが一般的。いったん職場や学校から帰宅して昼食を取り、昼寝をしてから仕事に戻ります。
スペインの人々の暮らしの一部として根付いているため、シエスタの時間帯は、飲食店以外のお店は開いていません。
ほかにも、かつてスペインの植民地だったアルゼンチンなどの南米諸国、中国・インド・ベトナムなどの亜熱帯地域、ヨーロッパでも地中海沿いのギリシャやイタリアなど、世界30ヶ国以上で同じような午睡の習慣があるようです。
シエスタが生まれた理由
シエスタ発祥の背景には、スペインの気候が深く関係しています。
スペインでは夏季の日差しが強く、1年で最も暑い7月や8月には40℃を超える日も多くあります。
暑さがピークになる昼過ぎは直射日光を浴びると痛いくらいで、この時間帯に働くのは非効率なため、長い昼休憩が取られるようになったのです。
また、スペインでは基本的に1日5食なのですが、メインの食事であるランチでは、家族そろってフルコースを食べます。日本の夕食にあたるのがスペインの昼食と考えてください。そのため、昼食時には一度帰宅し、家族と会話を楽しみながら食事をします。
生活時間帯は日本より遅く、昼食は午後2時、夕食は夜9時ぐらいに取ります。飲食店の営業時間もそれに合わせ、ランチは午後1時、ディナーは夜9時頃のオープンが一般的です。
現在のシエスタ
しかし、現在では他国と足並みをそろえて競争力を高めるため、スペインの都市部ではシエスタは廃止の方向にあります。大手企業からシエスタを廃止し始め、2006年には公務員のシエスタも廃止されました。
その流れで、現在では多くの企業で昼休みは1時間程度となっているようです。一方、地方の小さな町や個人商店など、いまだシエスタの文化を続けている所が多く存在しています。
企業がシエスタを取り入れるメリット
日本ではなじみのないシエスタですが、これを企業が取り入れることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
生産性が高まる
眠いのを我慢して仕事をするとペースが落ち、ミスも増えます。シエスタは15〜20分仮眠を取るだけで眠気を解消し、パフォーマンスを上げることができるので非常に効率的です。
仮眠後は適度な休息により脳が再び活性化し、作業効率の改善が見込めるほか、ストレス解消、体力回復にもつながり、いいことずくめ。
眠気を飛ばすためにトイレに行く、タバコ休憩をするよりもよほど効果的です。
睡眠負債を解消しやすい
睡眠時間を十分に取れておらず、睡眠不足が蓄積した状態を借金にたとえて「睡眠負債」と呼びますが、この状態に陥ると必要以上に疲れを感じやすくなり、仕事のパフォーマンスも低下するので要注意。
適度な昼寝は、睡眠負債を返済して慢性的な睡眠不足を防ぐ効果があるため、長い目で見ても効果的なのです。
健康増進に役立つ
昼寝で休息を取ると一時的に血圧が下がるため、高血圧の予防になるほか、睡眠不足を解消することで心臓病予防にもつながります。普段睡眠不足の人は知らず知らずのうちに心臓に負担がかかっているので、ぜひ、シエスタを習慣化しましょう。
労働時間をフレックス化しやすい
長めの昼休みを取り入れることで、従業員が自分の働きたい時間帯を選びやすくなるというメリットもあります。
昼寝をしたいときは長めに休憩を取り、遅出や早上がりをしたい日は、その分短い昼休憩を取って調整すれば良いので、そういった勤務体系に慣れることで将来的にフレックスタイムを実現しやすくなります。
従業員の満足度向上につながる
昼食後の眠くなる時間帯に休憩時間を設けることで、心身をスッキリさせ、午後の仕事が楽になるので、従業員の満足度向上につながります。
従業員にとって働きやすい環境だと、モチベーションアップや売上増加も期待できるので、会社にとってのメリットも計り知れません。
シエスタの注意点
企業や働き手にとってもメリットの多いシエスタですが、いくつか注意点もあります。
そのため、以下の注意点を踏まえて導入しましょう。
寝すぎると逆効果になりやすい
シエスタは15〜20分、長くても30分以内にとどめることがポイントです。
睡眠にはレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があり、寝ている間はこの2つを交互に繰り返します。入眠すると徐々に眠りが深くなっていき、30分以上寝るとノンレム睡眠のなかでも一番深い眠りに到達してしまうので、その前の眠りが浅いうちにシエスタを終えるのがポイント。
ノンレム睡眠時に起きると自律神経が乱れ、頭痛が生じやすくなるほか、体内時計も狂い、夜に眠れなくなって睡眠不足につながります。
スッキリ起きるためのコツは、シエスタ前にお茶やコーヒーでカフェインを摂ること。カフェインの覚醒作用は摂取後20〜30分後に発揮されるので、ちょうど目が覚めるときにカフェインが効いて、目覚めが良くなります。
シエスタの際には横にならない
ベッドなどで横になって寝ると、熟睡して起きるのがつらくなる可能性が高いです。
デスクに顔を伏せて寝ると寝過ぎないだけでなく、周りの光も遮断されるのでより効果的。椅子や休憩室のソファ、車のシートに座って寝る場合は、アイマスクを利用することをおすすめします。
退社時間が遅くなりすぎないように気を付ける
シエスタを取った後も、同じペースで同じ量の仕事をこなした場合、シエスタした時間だけ退社時刻が遅くなります。そうすると就寝時刻も遅くなるので、睡眠不足の原因になることも。
シエスタの目的は睡眠時間を増やすことではなく、あくまでリフレッシュ。長時間や複数回シエスタすることは避け、シエスタ後はその時間を取り戻せるくらい集中して業務をこなし、普段と同じ時間に退社できるよう心がけましょう。
シエスタで午後の眠気を解消し、仕事の生産性を上げよう
食後は消化活動で内臓が活発に動くため、どうしても副交感神経が優位になり、眠気が生じてしまいます。
眠気をこらえながら仕事をしても効率が悪いし、体もつらく、何のメリットもありません。ぜひ、今日からシエスタを取り入れ、頭も体もスッキリさせて、午後の仕事のパフォーマンスを上げましょう!
上司が寝ずに仕事をしていると、部下は遠慮しがち。そこで、上司から率先して取る、1人ずつ交代で取る、仮眠室を用意する、空いている会議室や休憩室で仮眠OKにするなど、シエスタしやすい環境を整えてみてください。
※参照:『FORZA STYLE』
睡眠学会理事の先生も、マシュマロの上で眠るような体験ができ、質の高い睡眠が叶えられるとLIMNEのマットレスを絶賛。