睡眠と体温の “深い”関係を知って、あなたの眠りを改善しよう

睡眠と体温の “深い”関係を知って、あなたの眠りを改善しよう

寝たい時間になかなか眠れない、寝つきが悪い、眠りが浅いと感じるときは、もしかすると体温の調整が上手くいっていないかもしれません。

実は、睡眠と体温には切っても切り離せない関係があります。そのため、体温を上手にコントロールすれば、睡眠の改善が期待できます。

ここでは、睡眠と体温の関係を分かりやすく解説しながら、快眠のために準備すべきことや、生活のちょっとした見直しでできる体温調整法をご紹介します。

睡眠と体温に関する基礎知識

睡眠 体温1

体温は、快眠や不眠に深く関わっています。ここでは体温を調整する基本的な仕組みと、睡眠にどのような影響を及ぼすのかを解説します。

睡眠と体温の関係

私たちが体温計で測っている体温は、「皮膚温」と呼ばれている体の表面温度です。一方、「深部温度」と呼ばれる内臓の体温(体の内部の体温)もあり、深部温度は皮膚温よりも約1度高いことが知られています。

通常、深部体温が下降して手足の皮膚温が上昇すると眠くなり、逆に深部体温が上がると睡眠状態が終わって覚醒します。この深部体温の低下が大きいと、深い睡眠であるノンレム睡眠(徐波睡眠)になります。

睡眠前後の体温調整を含め、人間は1日の体温の動きを体で調整することができる恒温動物です。無意識でも体温を調整できる理由は、大きく分けると2つの体温調整の仕組みが機能しているからで、一つは「熱産生・放熱機構」、もう一つは「体内時計」です。

熱産生・放熱機構は、体の熱を作ったり、熱を体外に逃がしたりして体温を調節する働きのことで、耳の奥のほうにある脳の「前視床下部」がその中心的役割を担っています。眠っているときに手足の皮膚温が上がるのは、深部体温の熱を手足から熱放散しているからなのです。

もう一つ、体内時計はおでこの奥のほうに位置する脳の「視交叉上核」(しこうさじょうかく)にあり、体温リズムだけでなく、睡眠と目覚めなどさまざまな生体リズムを作り出しています。この生体リズムは、朝~昼~夜への変化や、季節の変化に対し、効率よく適応できるように体の状態を調節しています。

この2種類の仕組みによって、体温は睡眠と目覚めのリズムを調節しており、睡眠もまた体温調節に関わっているのです。

眠れないときの体温変化

深部体温が低く、皮膚温が高いほど、その直後の眠りやすさが強くなるのですが、1日の体温の高低差が小さかったり、体温の変動するリズムが崩れたりすると、眠りの質が浅くなってしまいます。

例えば高齢者の場合は、睡眠時の体温が若者よりも下がりにくく睡眠が浅くなったり、加齢によって体内時計のリズムが前倒しにずれたりするため、早寝早起きとなりやすいという特徴があります。

また、うつ病患者は深部体温が高い傾向にあるため、夜に体温が下がりにくく、眠りにつきにくいという特徴があります。冷え性の人も眠れない悩みを抱える人が多いのですが、この場合は血行が良くないため、体の中心部の体温を体の末端(手や足)から上手く逃がせない状態になっていることが原因です。

睡眠の質を向上するために知っておきたい、体温調節の方法

睡眠 体温2

普段は無意識で体温を調整していると思いますが、生活の時間を意識することで入眠しやすい体温にコントロールできます。

ここでは、日常生活のなかで簡単に体温を上げる方法として、運動と食事、入浴を取り上げ、スムーズな入眠のための最適な時間帯と、効率よく行うためのポイントを具体的に紹介します。

運動するなら「寝る3時間前まで」

運動をすると深部体温が上がり、身体に適度な疲れをもたらすため、眠気を引き起こし、質の良い睡眠につなげることができます。

特に、体内時計で1日の最高体温になる夕方から夜にかけて(就寝3~5時間前)、少し汗ばむ程度の運動をすると、深部温度を効率よく上げることができ、睡眠時に温度が下がりやすくなります。

ただし、深部体温はすぐには下がりにくいため、寝る直前に運動をすると交感神経が優位になったり、体温が下がらなかったりして逆効果になります。なお、ジョギングなどの軽い運動であれば、寝る1~2時間前でもOKです。

夕食を摂るなら「3時間前まで」

食事をすることで、深部体温を上げることもできます。ただし、寝る直前の食事は肥満につながりやすく、深部体温はすぐには下がりにくいため、夕食は寝る3時間前までに摂るようにしましょう。

夏バテなどで食欲が落ち、食べる量が減ると熱を作るためのエネルギーそのものが不足してしまうので、食事を抜かないことも大切です。

深部体温をしっかり上げておきたいときは、体温が上がりやすい食品を選ぶのもおすすめです。例えば、しょうが、ネギ、ニラ、鶏肉、チーズ、カプサイシンを含む食べ物などを取り入れてみてください。

唐辛子やショウガのような発汗作用のある食材は、発汗によって発生する気化熱で体温が奪われてしまい、深部体温が熱放散され、冷え性につながるという逆効果もあるので、注意が必要です。食事の際、汗をかいたときには、すぐにふき取るようにしましょう。

炭水化物に偏りがちなメニューの場合、ビタミンB1を含む豚肉、米ぬか、大豆、枝豆、納豆、ごま、のり、鰻、塩麹などの食材を合わせるようにすると、糖質の代謝が促進されて効果的です。

入浴するなら「寝る1~2時間前まで」

お風呂で入浴すると体の末梢血管がある手足の血行が良くなるため、深部体温の熱が放出されやすくなります。おすすめは寝る1〜2時間前までに38度〜40度のぬるま湯に15分ほど浸かる方法です。

気持ち良いお湯の温度には個人差があるものの、一般的に42度以上の熱いお湯に浸かると交感神経が刺激されて覚醒しやすくなり、深部体温が高いままになることで睡眠を妨げてしまいます。

また、運動や食事と同様に入浴を寝る直前にしてしまうと、せっかく下がり始めた体温をまた上げてしまうので、逆効果になります。入浴してから布団に入る1~2時間は、副交感神経を優位にさせるためにも、心身がリラックスするように過ごしましょう。

睡眠と体温のリズムを乱しやすい、ありがちな“NG行動”

質の良い睡眠のためには、朝からしっかり体温を上げて活動することと、寝る前はストレスで自律神経を乱さないこと、そして、体温調整の妨げになるものを避けることが重要です。

上手く習慣化できれば、体内時計が整って健康的な睡眠と体温のリズムになるものの、普段の生活のなかにはリズムを乱してしまう、ちょっとした落とし穴も潜んでいます。

ここでは、ありがちなNG行動とNGである理由を、体温調整のメカニズムを交えて解説します。

朝のNG行動

睡眠 体温3

【冷たい水を飲む】
目が覚めたら、体温の上昇を促すために、交感神経のスイッチをONにする行動を意識すると、体内時計が整いやすくなります。おすすめは、睡眠中の発汗で減ったカラダの水分補給のために、起床してすぐ水を飲むこと。

ただし、冷蔵庫で冷やしたペットボトルの水を飲むのはNG。なぜなら、内臓が冷えて深部体温が上がりにくくなってしまうからです。そこで、飲むなら白湯にしましょう。

【朝食を抜く】
食べる量が減ると、体温を作るためのエネルギー源が不足してしまいます。体内時計や体温調整を整えるには、朝からしっかり体温を上げて活動することが欠かせないため、食欲がなくても朝は何か食べるようにしましょう。

栄養バランスの良い食事を毎朝作るのは難しいかもしれませんが、おにぎり、玉子、乳製品、ソーセージ、果物など、エネルギー源になるものをお腹に入れることを心がけ、どうしても時間がない日はシリアルを活用してみるのもいいでしょう。

夜のNG行動

睡眠 体温4

【エアコンをつけっぱなしにする】
夏場は温度や湿度が高いと体温がうまく低下しなくなり、寝つきが悪くなってしまうため、エアコンを一晩中つけっぱなしにする方も多いでしょう。

でも、起床時に体がだるいと感じたことはありませんか? それはエアコンが効いた部屋で寝ていると、汗をかかなくなるなど、体温調節機能が鈍くなってしまうからです。

一般的に、深い眠りは入眠から3時間までに訪れるため、就寝時から3時間経過するまではエアコンで室内を28℃くらいの適温にしておくのがベストです。エアコンの冷風が直接当たらないように風向きを調整し、タイマーで就寝後3時間後に切れるように設定するか、熱帯夜が予想される場合は起床時間の3時間前に切れる設定にしましょう。

もし、どうしても寝苦しいと感じてしまう場合は、冷感素材のマットレスを取り入れるなど、寝具を見直すのも効果的です。

反対に冬場には暖房が強すぎて体の内部の温度が低くならず、眠りが浅くなってしまうケースがあります。そんなときは暖房のタイマー機能を使い、寝てから少しすると切れるようにすれば、室内の温度を低くでき、深い眠りが得やすくなります。

また、一晩中電気毛布を使用した状態で眠ると、夜中に目覚めることが多くなります。電気毛布を使用する場合も、タイマーで30分後に切れるようにするか、最弱に切り替わるようにすると眠りが深くなります。

どうしても快眠できない場合は、保温性の高い寝具にするなど見直してみると良いでしょう。

【靴下を履いて寝る】
深部体温が下がって手足の皮膚温が上がると眠くなるため、入浴後から就寝時まで温めた足を冷やさないように靴下を履いたり、就寝前に足のマッサージをしたりすると効果的です。

しかし、靴下を履いたまま寝てしまうと手足から放熱しにくくなるため、深部体温が下がらず、寝つきが悪くなる一因になります。さらに、靴下を履いて足を温めすぎると熱放出が過剰になり、蒸れたり汗をかいたりして、体が冷えすぎてしまう可能性もあります。

冬場、足先の冷えがひどくて寝付けないという場合は、靴下を履いて寝るほうが良いものの、足を締め付けにくいルーズソックスのような緩めのもので吸湿性が高く、放湿性に優れている素材(※シルクなど)を選び、寝ている間に熱いと感じたらすぐに脱ぎましょう。

しっかりと体温を調整し、睡眠の質を高めよう

睡眠 体温5

睡眠と体温のメカニズムを、理解できたでしょうか?

このように睡眠と体温は密接に関係しており、日々の生活習慣を変えることで、質の高い睡眠を手に入れることができます。

熟睡できれば仕事もプライベートも充実し、健康な生活を送ることが可能です。

ぜひ紹介したことを意識し、実践してみてください。


夏山元伸先生

【監修者】夏山元伸
1979年東京大学医学部卒業、同附属病院などを経て1990年より関東労災病院勤務。
2001年に同整形外科部長。
2013年から島脳神経外科整形外科医院副院長、整形外科部長、内視鏡・腰痛センター長。
著書『ササッとわかる「腰痛」にならない生活、治す生活』(講談社)など。



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