睡眠時の歯ぎしりを防ぐには?健康が損なわれる前に適切な対策を

かつて、歯ぎしりは歯並びや噛み合わせの悪さが原因と信じられていましたが、最近それは否定されて、ストレスや生活習慣などが原因と言われています。

ここでは歯ぎしりの症状について詳しく紹介し、原因として考えられることと、実際に悩んでいる方のために、どのような対策を講じれば改善に繋がるのかをお伝えします。

歯ぎしりをしている意識がある人はもちろん、日中や睡眠中に無意識にしている人も多いので、みなさんぜひ参考にしてみてください。

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歯ぎしりの基礎知識

ここでは歯ぎしりが引き起こす影響や、歯ぎしりの種類について解説します。

そもそも、歯ぎしりとはどういったもの?

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歯ぎしりをしている自覚がなくても、パソコン作業中など、緊張から少し歯を噛みしめていることはよくあります。

また、朝起きた時に歯ぎしりをしていたと周囲に指摘されるまで、気付かない方もいると思います。

このような無意識の状態で、歯を強く擦り合わせたり、噛みしめたりすることを「歯ぎしり」あるいは「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」と呼び、眠っているときに行っている場合は「睡眠時ブラキシズム」と言います。

歯ぎしりと似た症状を呈するものとして、「噛みしめ」や「食いしばり」、「TCH」もあります。TCHは「Tooth Contacting Habit」の略で、上下の歯を無意識にくっつけている癖という意味です。

歯ぎしりは非常に強い力で歯を擦り合わせているため、歯に強い力がかかり、詰め物の摩耗、欠損が起きやすくなります。また、歯茎にも強い力が加わるため、歯肉炎や歯周病が悪化しやすいです。

影響は歯だけでなく、顎や全身に及ぶこともあります。

顎の骨に過度に力が加わると、力が集中したところに骨隆起ができたり、顎に強い力がかかることによって、顎関節症になりやすくなります。

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また、首や肩に強い力が加わることで肩こりも生じやすくなるなど、歯ぎしりは体にさまざまな障害を引き起こすことが分かっています。

歯ぎしりは日中に起きる場合と眠っている間に起きる場合があり、眠っているときは、比較的浅いレム睡眠の際に起こりやすいです。

なお、眠っているときにする歯ぎしりは、無意識のため、起きているときよりも抑制が効かず、歯や顎により大きい負担をかけてしまいます。セラミックを歯に利用している人は、天然歯や金属歯に比べて脆いので、寝ている間に破損する恐れがあります。

もしインプラントを検討している場合は、歯ぎしりが改善するまで治療を控えたほうが良いでしょう。

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歯ぎしりの主な種類

グラインディング
一般的に歯ぎしりと言われるケースのほとんどは、グラインディングです。横方向に上下の歯をこすり合わせる歯ぎしりで、ギリギリなどの音が聞こえます。この歯ぎしりが常習になると、歯や顎、顎間接などに大きな圧力がかかり、悪影響が及ぶことがあります。

クレンチング
大きなストレスなどがあるときに歯を強く食いしばるのが、このクレンチングです。上下の歯を強くかみしめるタイプの歯ぎしりになり、音がしないため、周囲の人が気付きにくいという特徴があります。

日中にも無意識に行う場合があり、知らない間に歯を削ってしまったり、肩こりを感じたりする原因になります。また、顎のエラ部位に痛みを感じることや、上下の歯の噛み合わせ面が擦り減ってしまうこともあります。

タッピング
上下の歯を合わせて「カチカチ」「カチンカチン」とリズミカルな音が鳴る歯ぎしりで、ストレスや噛み合わせなどが原因です。歯をこすり合わせたり、食いしばったりしないので、グラインディングやクレンチングと比べて顎や歯などへの影響は少ないです。

 

睡眠時の歯ぎしりの主な原因

睡眠時に歯ぎしりが起きる原因は、ストレスや生活習慣のほかに、病気が原因になっている可能性もあります。ここでは、代表的な4つの原因について詳しく解説します。

過度のストレス

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人は強いストレスを感じると、無意識に体を揺らす仕草や行動が表れます。歯ぎしりや食いしばりもその行動の1つで、無意識のうちにストレスを発散していると考えられています。

性格的には、競争心が強い人、いつも時間に追われている人、目的を達成するためにとことんやろうとする人、ストレス発散がうまくできない人などが、歯ぎしりをしやすい傾向にあります。強いストレス状態が続くと習慣化する恐れがあるので、注意が必要です。

飲酒や喫煙

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歯ぎしりは、眠りの浅いレム睡眠時に行われることが知られています。眠りが浅くなる原因として、睡眠前の飲酒や喫煙が挙げられます。

アルコールが体内で分解されるときに発生するアセトアルデヒドは、レム睡眠を阻害する原因となり、浅いノンレム睡眠状態が長く続いたり、睡眠が分断されやすくなったりするため、眠りの質が低下するのです。

特に、高用量のアルコールは睡眠の後半に交感神経の活動が高まって、睡眠の持続性が低下します。

寝る前の喫煙も、自分から不眠を招いているようなものです。ニコチンは覚醒効果のあるアドレナリンを分泌しやすく脳を覚醒させる作用があるため、寝つきが悪くなり、眠りが浅くなります。また、タバコは血管収縮や、血圧や心拍数の上昇を引き起こし、深い睡眠が得られません。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は消化器疾患で、胃と食道の間の筋肉が緩み、胃酸が食道へ逆流しやすくなる症状が特徴ですが、胸焼けや咳、胃痛だけでなく、歯ぎしりを誘発しやすいことが分かってきました。

夜寝ているときに、胃酸が逆流して口腔内に戻ることで口の中が酸性になります。そうなると、酸性の口腔内を薄めるために、歯ぎしりや喰いしばりをして唾液腺の分泌を促そうとするのです。このような症状がある場合は、逆流性食道炎治療薬を用いることによって、歯ぎしりの原因となる酸性を抑えることができます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に10秒以上の無呼吸状態が続くことを「睡眠時無呼吸症候群」と言います。一時的に無呼吸になるため、睡眠の質が低下します。大きないびき、昼間の強い眠気が特徴の病気ですが、熟睡できず眠りが浅くなりやすいため、歯ぎしりが起こりやすくなる人もいます。

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睡眠時の歯ぎしり対策

歯ぎしりの予防や症状の軽減は、原因に合わせた対策をすることが重要です。病院で受けられる治療法もありますが、ストレスや生活習慣が原因の場合は、日常生活で睡眠の質を良くする行動が大切になってきます。

治療を受ける

睡眠中の歯ぎしりの緩和や治療は、ナイトガードやスプリントと呼ばれるというマウスピース状の器具を装着する方法が一般的です。これは上下の歯の接触を物理的に防ぐ方法で、「スプリント療法」とも呼ばれています。

この治療は歯科や口腔外科で診断を受けて処置を受けた場合、健康保険が適用されます。

問診では、朝起きたときに顎にこわばりや痛みを感じる、周囲から音が聞こえると言われるなど、歯ぎしりに関する自覚症状があれば伝えましょう。

また、歯ぎしりは遺伝による歯並びが関連しているケースもあります。口の中を見て、歯のすり減り方の度合いや、顎の骨の発達具合、顎関節症の有無、歯周病を悪化させていないかなども確認してもらい、もしも睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎などが疑われるようであれば、専門病院で詳しい検査を受けましょう。

ストレスを減らす

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ストレスの原因を完全に取り除くことは難しいかもしれませんが、軽く運動をして気分転換をするなど、積極的にストレス解消をすることが大切です。

食事面では、ストレスを感じているときに不足しやすいタンパク質、ビタミンB群、亜鉛、鉄などの栄養素が含まれる食べ物を摂ると良いでしょう。

また、就寝前にゆっくり腹式呼吸をしたり、ぬるめのお風呂に入ったり、ストレッチを行ったりするのもおすすめ。体がリラックスし、緊張状態をなくす効果が期待できます。

ほかに、毎朝日光を浴びるのもおすすめです。日光を浴びることで幸福感を感じられるセロトニンの分泌が促されるため、ストレスを軽減させる効果が得られます。しかも、毎朝決まった時間に起きて日光を浴びると体内時計がリセットされ、決まった時間に眠気がくるようになり、睡眠の質を高めることもできます。

睡眠が浅くなる行為を避ける

睡眠が浅いと歯ぎしりの原因になりやすいため、就寝前のちょっとした生活習慣を改善し、ぐっすり眠れるようにしてみましょう。

まず、就寝前のスマホやテレビを控えること。ブルーライトは覚醒効果があり、睡眠の質を下げやすいため、就寝1時間前には視聴をやめましょう。

次に、お酒やたばこ、カフェイン入り飲料は覚醒効果があるため、睡眠の質を下げることに繋がります。夜にたしなむ量を減らすか、寝る前は控えたほうが良いです。

そして、枕の高さも重要です。枕は高すぎても、低すぎても睡眠の質を下げてしまいます。理想の枕の高さは、仰向けで眠るときに背骨が緩やかなS字カーブを描く高さで、横向きに眠るときは背骨がまっすぐになる高さです。

枕に違和感がある、首周辺に負担がかかっていると感じる場合は、自分に合う高さに調節する、あるいは買い替えを検討しましょう。

睡眠の質を高めて歯ぎしりを改善、予防しよう

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歯ぎしりは、ストレスなどの生活習慣や睡眠の浅さが原因で起こります。

そのため、ストレスを溜めない工夫や生活習慣の見直しにより、睡眠の質を高めることが重要です。

歯ぎしりを放置しておくと、噛み合わせが悪くなり、歯や顎だけでなく、顔面痛、頭痛、肩こり、腰痛など全身に影響を及ぼすことがあります。

また、虫歯がないのに歯が痛いと感じる場合や、奥歯全体が痛む、冷たいものがしみる知覚過敏の症状も、噛みしめや歯ぎしりからくる痛みの可能性があるので、そういった症状がある方は一度病院で診察を受けましょう。

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